HOME > 業務内容 > 離婚

離婚の公正証書によってトラブルを防ぎましょう

離婚

離婚せざるをえなくなった場合に、離婚に関する公正証書を作成しておけば将来起こるかもしれないトラブルの発生を防ぐことができます。公証人が客観的な立場で法律的に内容を整理して公正証書を作成しますので、将来起こるかもしれない、慰謝料、財産分与や子の養育費などに関するトラブルの予防ができます。特によく問題になるのが、養育費などの支払いが滞った場合ですが、強制執行認諾文言付きで公正証書を作成しておけば、裁判をせずに、不動産、動産、給料債権、預金などを差し押さえることができますし、またそのことを背景に約束通りの履行促すことができるのです。

公正証書で定める合意の内容

通常、離婚に関する公正証書には、

  1. 離婚を合意した日及び離婚届を夫と妻のどちらが届け出るか
  2. 未成年の子の親権者及び監護権者を夫と妻のいずれにするか
  3. 養育費の取り決め(何年何月から何年何月までの間、月額いくらをどのような方法で支払うか等。)
  4. 子との面会交流の取り決め
  5. 慰謝料の支払いの取り決め(慰謝料の支払いをしない場合もあります。)
  6. 財産分与の取り決め(財産分与のない場合もあります。)
  7. 支払いが遅延した場合の遅延損害金の定め
  8. 年金分割の合意をした場合の合意内容
  9. 清算条項(公正証書で定めた権利義務のほかには何らの債権債務のないことを相互に確認すること。)
  10. 住所や勤務先の変更があった場合に相手方に通知すること離婚後も子との面会交流や養育費の支払いなどをスムーズに行うため相互の連絡先を把握しておく必要があります。)
  11. 強制執行の認諾(養育費等の金銭債務の支払いを怠った場合には、裁判によらずに直ちに強制執行に服することを承諾することです。)

などを定めます。

作成までの手順

1 事前相談

事前相談

作成される内容を公証人にご相談ください。ご本人に役場までお出でいただくのが望ましいのですが、事情によっては、電話やファックスでお知らせいただくこともできます。このときに必要な書類が揃っているのが望ましいのですが、必ずしも全部揃っている必要はありません。また、公証人から離婚の公正証書のサンプルをお見せして説明することもできます。

2 文案の作成

公証人がご本人たち(夫と妻)のお考えと契約内容を確認して離婚の公証書の文案(原稿)を作成し、その文案をご本人たちに見ていただきます。文案をお渡しする方法は、役場までお越しいただく、郵送するなどの方法があります。

3 作成日時の調整等

文案の内容が間違いなければ、離婚の公正証書を完成させる日時を調整させていただきます。文案の内容に違う点があれば、公証人がその違う点を確認させていただき、文案を修正してもう一度ご本人たちに見ていただきます。

4 離婚の公正証書の作成(完成)

作成日にご本人たちに内容の最終確認をしていただいた上、署名押印(原則として実印が必要です。)していただいて完成させます。なお、事情によってはご本人ではなく、代理人に役場までお出でいただいて作成することもできます。

5 作成に要する期間

離婚の内容や必要書類の揃い方などにより異なりますが、事前相談から完成まで、早ければ3日くらい、通常は1週間くらいです。

必要な書類等

  1. ご本人たちの印鑑登録証明書(発行後3か月以内のもの。以下同じ。)と実印、またはご本人の顔写真付き公的機関発行の証明書(運転免許証、パスポート等。)と認印
  2. 婚姻関係や親子関係を確認するための戸籍謄本、住民票
  3. 財産分与や慰謝料の支払いに不動産がある場合は、その登記簿謄本、固定資産税評価証明書または納税通知書
  4. 年金分割の合意がある場合は、年金分割情報通知書、基礎年金番号の記載のある年金手帳(年金分割情報通知書は、日本年金機構に請求する必要があります。また共済年金については、各種共済組合に請求してください。)

必要な手数料(法務省が定めた手数料令で決められています。)

1 基本手数料

下記の項目ごとに「目的の価額」を基準にそれぞれの手数料を計算します。
ア 慰謝料及び財産分与は、支払う全額を目的価額とします。
イ 養育費は、支払う全額(ただし、支払期間が10年を超える場合は、10年を限度として計算します。)が目的価額となります。
ウ 年金分割の取り決めは、目的価額を算定不能として11,000円の手数料になります。

目的の価額手数料
100万円以下 5,000円
200万円まで 7,000円
500万円まで 11,000円
1,000万円まで 17,000円
3,000万円まで 23,000円
5,000万円まで 29,000円
1億円まで 43,000円
1億円を超える 超える額が5,000万円ごとに3億円までは13,000円ずつ、10億円までは11,000円ずつ、10億円を超えるときは8.000円ずつ、それぞれ加算

2 正本や謄本の費用は一枚につき250円です。

離婚についてのよくあるご質問・疑問と回答

本人ではなく、代理人でも離婚の公正証書を作成できますか。
離婚されるご本人の意思を最終確認させていただくために、ご本人に公正証書に署名押印していただくのが望ましいのですが、事情があれば代理人でも可能です。その場合はご本人から代理人に対する委任状が必要になります。
養育費はどのように決めるのですか。
親は子が親と同程度の生活を送れるように費用を負担するというのが原則(「生活保持義務」といいます。)ですから、子が同居していればどのくらいの生活費がかかるかを計算し、それを義務者と権利者の収入の割合で按分し、義務者が支払うべき養育費の額を決めるという方法が基本になります。 なお、それにとらわれずに夫と妻が合意した金額を子の養育費とすることはもちろん可能です。家庭裁判所で使われている養育費の算定表もありますので、詳しいことは公証人にお尋ねください。
子が大学を卒業するまで、毎月××円の養育費を支払うという取り決めはできますか。また二人の子がいる場合にも養育費を一括して毎月××円しはらうという取り決めはできませんか。
「子が大学を卒業するまで」という取り決めは望ましくありません。お子さんが大学に進学しなかったり、浪人したり、留年するとか中退するということも考えられなくはありません。その場合には支払期間が不明確になってしまい、支払う側は何時まで支払らってよいのか分からなくなってしまいますし、支払いが遅延した場合でも裁判所は強制執行を認めないと思われます。それを避けるためには、「何年何月から子が満22歳に達した最初の3月である何年3月までの間、毎月××円を支払う。」という取り決めにすることが考えられます。また、複数のお子さんの養育費を一括して取り決めることも望ましくありません。お子さんのうちの一人が先に成人に達して就職し養育費の支払いは不要になった場合とか、万一支払期間中に一人のお子さんが死亡されてしまったというような場合、いくらの養育費を支払い続けるのかという問題が生じてしまうからです。ですから、お子さん一人ごとに支払う金額と期間を明確に取り決めておくべきです。
離婚届を提出して離婚した後にも離婚に関する公正証書を作成することはできますか。
離婚の公正証書の作成は、離婚届書の提出前でも後でもできます。ただ、届け出後は、一方のお気持ちが変わって、離婚条件について紛議が生じたり、公正証書の作成に同意しないということもありえますので、届け出前に公正証書を作成することが望ましいと考えられます
住宅ローンの支払いが残っているマンションを財産分与する場合の注意点は何ですか。
例えば、夫の名義で住宅ローンによりマンションを購入し、離婚に当たり財産分与としてマンションの名義を妻に変更するという場合に、その住宅ローンの支払いが残っていると、夫が継続してそのローンの返済をしていくなら問題はないのですが、夫になんらかの事情があってローンの支払いができなくなったという場合には妻が財産分与により得たそのマンションの権利を失うおそれがあります。また、銀行によっては、マンション等の不動産の名義変更をローンの期限の利益の喪失事由としていますので、財産分与によってマンションの名義を夫から妻に変更すると残っているローンの一括返済を迫られるということもあり得ます。事前に銀行の承諾を得ておく必要がありますが、容易ではないと思われます。これらの事態を避けるためには、マンションの登記名義の変更はローンの完済後とすることとし、離婚される時には、妻を権利者とする仮登記をしておくという方法があります。この住宅ローン付不動産の財産分与については、色々困難な問題がありますので、公証人に相談してください。
慰謝料や財産分与に税金はかかりますか。
慰謝料の支払いを受けたり財産分与を受けても、贈与税も一時所得としての所得税もかかりりません。(なお、財産分与する側に譲渡所得税がかかることがあります(財産分与する時の価格が取得時の価格を上回っているような場合です。)。
退職金を財産分与することはできますか。
退職金を財産分与の対象とすることはできます。ただし、将来に支給額等が決定されますから、その分与の方法については工夫が必要です。具体的には公証人にご相談ください。

※その他の離婚に関する疑問等は何でも結構ですから、公証人に直接お尋ねください。また、離婚についての質問と回答の詳細については、日本公証人連合会のホームページに掲載しています。この八重洲公証役場のホームページの「リンク」を開けるとご覧いただくことができます。

トップへ