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事実実験公正証書の意義

事実実験公正証書

証人が、五感の作用により直接体験し、認識した事実を記載して作成するものです。裁判所が行う「検証」に似ていて、証拠を保全することができます。法的な権利義務に関する多種多様な事実について事実実験公正証書を作成することが可能です。事実験公正証書が作成されていれば、将来の紛争を予防することができますし、万一紛争が生じても、極めて証明力の高い有力な証拠になり、裁判等で有利な立場に立つことができます。しかも原本は法定の期間、役場で保管しますので安心できます。

事実実験公正証書の作成のための出張について

事実実験公正証書の作成は、その性質上、役場ですることは困難な場合が多く、八重洲公証役場の公証人は東京都内であればどこへでも出張して作成できます。

事実実験公正証書が作成される主な場合

事実実験公正証書が作成される主な場合は以下のとおりです。

  1. 貸金庫の開披に関する事実実験公正証書
    この貸金庫の開披には、顧客が使用料金の支払いを怠るなどの原因により銀行の定めた貸金庫規定に基づいて銀行に開披の必要と権限が認められる場合と相続の開始により相続人あるいは遺言執行者が開披をする場合とがあります。
  2. 貸金庫の移設に関する事実実験公正証書
    銀行の支店の統合等により貸金庫を移動する場合です。
  3. 知的財産権に関する事実実験公正証書
    特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権の内容や実施状況、又はそれらの権利が侵害されている状況を証拠保全するために公証人が見聞した状況を公正証書にまとめるものです。
  4. 不法行為や約定違反行為の証拠保全に関する事実実験公正証書
  5. 株主総会や社員総会の進行状況等に関する事実実験公正証書
  6. 土地の境界争い関して現場の状況を確認する事実実験公正証書
  7. 尊厳死宣言に関する事実実験公正証書

必要な手数料

事実実験そのものや公正証書作成等に要した時間に対して、1時間ごとに1万1000円をかけて計算した手数料がかかります。また、正本・謄本の費用が1枚につき、250円かかります。役場外に出張して事実実験をする場合は、その他に日当(4時間以内は1万円、4時間を超える場合は2万円)と出張する場所までの往復の交通費(実費)がかかります。

尊厳死宣言公正証書について

本人が、自らの考えで尊厳死を望むことを宣言し、公証人がその宣言を直接聴取する事実実験をしてその結果を公正証書にまとめて作成するものです。この尊厳死とは、一般的に回復の見込みのない末期的状況の患者が、生命維持治療を差し控え又は中止し、人間としての尊厳を保ちつつ死を迎えることをいいます。そして、ご本人が正常な判断力があるうちにご本人自身で尊厳死を望むことを公証人の前で宣言することが尊厳死宣言です。自己決定権に基づくご本人の意思が尊重されるべきであるという考えに基づくもので、最近作成される方が増えています。その文例は以下のとおりです。

尊厳死宣言公正証書

本公証人は、尊厳死宣言者〇〇〇〇の嘱託により、令和〇〇年〇月〇日、その陳述内容が嘱託人の真意に基づくものであることを確認の上、宣言に関する陳述の趣旨を録取して、この証書を作成する。

第1条 私は、将来病気に罹り、それが不治であり、かつ死期が迫っている場合に備えて、私の家族及び私の医療に携わっている方々に、以下のとおりの要望を宣言します。

1 私の病気が現在の医学では不治の状態に陥り既に死期が迫っていると担当医を含む2名以上の医師により診断された場合には、死期を延ばすためだけの延命治療は一切行わないでください。特に、死期を延ばすためだけの目的で体内に管を入れるのは私の最も嫌うことですので、これだけは絶対にしないでください。

2 しかし、私の苦痛を和らげる処置は最大限に実施し、私が痛みを伴わず、自然体で安らかに死を迎えられるようにしてください。そのために、麻薬などの副作用により死亡時期が早まったとしてもかまいません。

第2条 この証書の作成にあたっては、予め私の妻の〇〇◎◎(昭和 年 月 日 生。)、私の長男の〇〇△△(昭和 年 月 日生。)及び私の長女の◇◇❖❖(昭和 年 月 日生。)の了承を得ております。私に前条記載の症状が発生したときは、医師も家族も私の意思に従い、私が人間として尊厳を保った安らかな死を迎えることができるようご配慮ください。

第3条 私のこの宣言による要望を忠実に果たしてくださる方々に深く感謝いたします。そして、その方々が私の要望に従ってされた行為の一切の責任は、私自身にあります。警察、検察の関係者におかれましては、私の家族や医師が私の意思に沿った行動を執ったことにより、これらの者を犯罪捜査や訴追の対象とすることのないよう特にお願いします。

第4条 この宣言は、私の精神が健全な状態にあるときに私自身が撤回しない限り、その効力を継続するものであることを明らかにしておきます。

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