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不動産賃貸借契約公正証書の効力等

不動産賃貸借契約

賃貸人は、土地や建物の賃貸借契約を、金銭債務の支払いを約定どおりしないときは強制執行を受けることを認諾する旨記載した公正証書によってすることにより、賃借人が賃料を約定とおりに支払わないときに、裁判をすることなく、強制執行をすることができます。一方、賃借人は、土地や建物を返還する際、賃貸人に預けている敷金や保証金などの返還をしてもらえる場合がありますが、賃貸人がその返還に応じないときは、公正証書によって、裁判をすることなく、強制執行ができます。また、事業用定期借地権の設定は、借地借家法により公正証書によってすることが必要と定められていますし、定期借地権の設定や定期建物賃貸借契約は、同法により公正証書等の書面によってすることが必要とされています。さらに、その公正証書の原本は公証役場で保管しますので、正本や謄本を万一紛失したり焼失してしまっても安全ですし、裁判になっても法律の専門家である公証人が法律上の効力に問題がないよう検討して作成する公正証書が極めて有力な証拠になります。このように、不動産賃貸借契約を公正証書にすることには多くの意義があります。

公正証書作成までの手順

1 事前相談

事前相談

作成される内容を公証人にご相談ください。既に賃貸人と賃借人との間で契約書や合意書を作成していることが多いと思われますが、その契約書や合意書があれば、それをお持ちいただくか、郵送又はファクスあるいはメールでお送りください。合意する内容を記載したメモでもかまいません。このときに必要な書類が揃っているのが望ましいのですが、必ずしも全部揃っている必要はありません。また、公証人から不動産賃貸借契約の公正証書のサンプルをお見せして説明することもできます。

2 文案の作成

公証人が賃貸人と賃借人のお考えと契約内容を確認して公証書の文案(原稿)を作成し、その文案を賃貸人と賃借人に見ていただきます。文案をお渡しする方法は、役場までお越しいただく、郵送又はファクスあるいはメールでお送りするなどの方法があります。

3 作成日時の調整等

文案の内容が間違いなければ、公正証書を完成させる日時を調整させていただきます。文案の内容に違う点があれば、公証人がその違う点を確認させていただき、文案を修正してもう一度賃貸人と賃借人に見ていただきます。

4 不動産賃貸借契約公正証書の作成(完成)

作成日に賃貸人と賃借人に内容の最終確認をしていただいた上、署名押印(原則として実印が必要です。)していただいて完成させます。なお、事情によってはご本人ではなく、代理人に役場までお出でいただいて作成することもできます。

5 作成に要する期間

賃貸借契約の内容や必要書類の揃い方などにより異なりますが、事前相談から完成まで、早ければ3日くらい、通常は1週間くらいです。

必要な書類

1 当事者本人が役場に来られる場合

  1. 当事者が個人の場合
    1. 発行後3か月以内の印鑑登録証明書と実印又は自動車運転免許証と認印(シャチハタ不可)
  2. 当事者が法人で法人の代表者が役場へ来られる場合
    1. 発行後3か月以内の法人の商業登記簿謄本
    2. 発行後3か月以内の法人の代表印の印鑑証明書及び代表者印
    3. 代表者の身分証明資料(自動車運転免許証、パスポート等の写真付きの公的証明書)

2 代理人が役場に来られる場合

  1. 当事者が個人の場合
    本人から代理人に対する委任状(本人の実印を押し、委任内容を具体的に記載したもの)
    発行後3か月以内の本人の印鑑登録証明書
    代理人の身分証明資料(自動車運転免許証、パスポート(パスポートの場合住民票が必要)等の写真付きの公的証明書)と代理人の認印又は代理人の印鑑登録証明書と実印
  2. 当事者が法人の場合
    発行後3か月以内の法人の商業登記簿謄本
    発行後3か月以内の法人の代表印の印鑑証明書
    法人の代表者から代理人に対する委任状(法人の実印を押し、委任内容を具体的に記載したもの)
    代理人の身分証明資料(自動車運転免許証、パスポート等の写真付きの公的証明書)

必要な手数料

不動産賃貸借契約の公正証書作成の手数料は、当該契約の賃料の総額(契約期間が10年を超える場合は、10年間の賃料総額)の2倍の額を目的額として、下記の表により算定します。します。なお、正本・謄本は、それぞれ250円×枚数の費用がかかり、役場で保存する原本は4枚までは無料、4枚を超えるときは超過枚数×250円の費用がかかります。印紙代は、土地賃貸借については200円、建物賃貸借については不要です。

目的の価額手数料
100万円以下5000円
100万円を超え200万円以下7000円
200万円を超え500万円以下11000円
500万円を超え1000万円以下17000円
1000万円を超え3000万円以下23000円
3000万円を超え5000万円以下29000円
5000万円を超え1億円以下43000円
1億円を超えるものは、5000万円までごとに、3億円までは13000円、10億円までは11000円、10億円を超える場合は8000円を、それぞれ43000円に加算する。
価額の算定ができないもの11000円

不動産賃貸借契約公正証書についてよくあるご質問・疑問と回答

土地の転貸借契約についても事業用定期借地権の設定ができますか。できる場合に注意すべき点を教えてください。
できます。注意すべき点は、基の賃貸借契約と期間や解除条項等の契約条件について矛盾が生じないようにすることです。そのために、基の賃貸借契約の内容を吟味することが大事です。
土地が数筆に分かれていてそれぞけ所有者が異なり、そのうちの一筆にだけ事業用の建物を建設するという場合でも、その数筆全部の土地に事業用定期借地権を設定することができますか。
その数筆の土地が一体として事業のために使用されていると認められるならできます。
二筆の土地が隣接しているのではなく、離れている場合、例えば、一筆の土地にはコンビニエンスストアを建て、離れた別の土地をその駐車場として使用する場合でもその二筆の土地について事業用定期借地権を設定することができますか。
質問2にも関連していますが、その二筆の土地が一体として使用されているならできます。
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