国内向け私文書の認証
私文書の認証の意味
公証人による私文書の認証は、私法上の法津行為や法律行為に関連のある事実を記載した私文書の作成者(作成名義人)の署名押印又は記名押印のある私文書(私署証書)について、その署名押印又は記名押印がその文書の作成名義人によって行われたことを公証人が証明するものです。公証人の認証によって、文書の署名押印又は記名押印の真正が証明され、そのことによって作成名義人の意思に基づいてその文書が作成されたことが推定されます。
認証の種類
認証の種類には下記の5種類があります。
1 面前認証(目撃認証)
署名者本人が公証人の面前で文書に署名する場合です。
2 面前自認(自認認証)
署名者本人が、公証人の面前で文書に署名したことを自ら承認する場合です
3 代理自認
代理人が、公証人の面前で、署名者本人が文書の署名は本人のものであることを自認した旨陳述する場合です。
4 謄本認証
嘱託人が提出した文書の謄本がその原本と符号する場合に認証するものです。
5 宣誓認証
嘱託人が、公証人の面前で、文書の記載が真実であることを宣誓の上、文書に署名する、又は署名を自認する場合です。
認証までの手順
下記の必要書類が揃っていれば、即日に認証できます。また、ご希望の日時をあらかじめご予約いただければスムーズに認証できます。
必要な書類
どの種類の認証かによって、提出していただく書類が下記のように異なります。
1 認証を受ける文書の署名者が個人である場合
- 署名者本人が役場に来られる場合
- 認証を受ける文書
- 署名者本人であることを証明できるもの(発行後3か月以内の署名者の印鑑登録証明書とその実印、運転免許証、パスポート、写真付きの住民基本台帳カード、その他顔写真付きの公的機関発行の証明書のいずれか。)
- 代理人が役場に来られる場合
- 認証を受ける文書
- 署名者本人の印鑑登録証明書(発行後3か月以内のもの)
- 署名者の実印を押した委任状
委任状のサンプル(文書の署名者が個人の場合)は以下のものです。
委任状
住所
氏名
私は、上記の者を代理人と定め、下記の文書について公証人の認証を受けるための一切の権限を委任します。
文書名通数
令和 年 月 日
住所
氏名実印
- 代理人であることを証明できるもの(発行後3か月以内の代理人の印鑑登録証明書とその実印、運転免許証、パスポート、写真付きの住民基本台帳カード、その他顔写真付きの公的機関発行の証明書のいずれか。)
2 認証を受ける文書の署名者が法人の代表者である場合
- 署名者本人が役場に来られる場合
- 認証を受ける文書
- 署名者が代表者であることを証明できるもの(発行後3か月以内の法人の登記簿謄本、発行後3か月以内の登記事項証明書のいずれか。)
- 発行後3か月以内の法人代表者印の印鑑証明書及びその代表者印
- 代理人が役場に来られる場合
- 認証を受ける文書
- 署名者が代表者であることを証明できるもの(発行後3か月以内の法人の登記簿謄本、発行後3か月以内の登記事項証明書のいずれか。)
- 発行後3か月以内の法人代表者印の印鑑証明書
- 署名者である法人代表者から代表者印を押した代理人に対する委任状
委任状のサンプル(文書の署名者が法人の代表者の場合)は以下のものです。
委任状
会社名
部署
氏名
私は、上記の者を代理人と定め、下記の文書について公証人の認証を受けるための一切の権限を委任します。
文書名通数
令和 年 月 日
本店所在地
会社名
代表取締役名代表者印
- 代理人であることを証明できるもの(発行後3か月以内の代理人の印鑑登録証明書とその実印、運転免許証、パスポート、写真付きの住民基本台帳カード、その他顔写真付きの公的機関発行の証明書のいずれか。)
3 認証を受ける文書の署名者が法人の代表者ではなく、法人の役職者等の肩書きによって署名する場合
- 署名者の役職者本人が役場に来られる場合
- 認証を受ける文書
- 発行後3か月以内の法人の登記簿謄本、発行後3か月以内の登記事項証明書のいずれか。)
- 発行後3か月以内の法人の代表者印の印鑑証明書
- 法人の代表者が代表者印を押して作成した役職及び社内使用印を証明する証明書とその使用印あるいは 法人の代表者が代表者印を押して作成したその役職者に対する委任状
役職及び使用印証明書のサンプルは以下のとおりです。
証明書
会社名
部署・役職名
氏名
1 上記の者は、当社の上記地位にある社員であることを証明します。
2 上記の者には、当社の業務に関し、次の権限を付与していることを証明します。
①当社の業務のうち、上記部署の業務として上記の者が分掌する事項について、官公署とその他の機関に提出する証書を上記の者の名義で作成すること。
②上記①で作成した証書について、自ら又はその代理人により、公証人に対して認証の嘱託をすること。
3 上記の者が当社の業務遂行に関して使用している印鑑の印影は以下のものであり、当該印鑑は、上記の者以外の者が上記の者の事前の許諾なく使用することが決してないよう、上記の者の下で業務上厳重に管理及び使用されているものであることを証明します。
役職者使用印 令和〇年〇月〇日
本店所在地
会社名
代表取締役名
代表者印 ※上記証明書3については、「上記の者が当社の業務の遂行に関して使用している印鑑の印影は以下のものであり、当該印鑑は、当社の印鑑規程(添付)により、上記の者以外の者が無断で使用することはできないものであることを証明します。」という記載例も考えられます。
※印鑑は、シャチハタ及び簡易印鑑は使用しないでください。 - 署名者本人であることを証明できるもの(発行後3か月以内の署名者の印鑑登録証明書とその実印、運転免許証、パスポート、写真付きの住民基本台帳カード、その他顔写真付きの公的機関発行の証明書のいずれか。)
- 代理人が役場に来られる場合
- 認証を受ける文書
- 発行後3か月以内の法人の登記簿謄本、発行後3か月以内の登記事項証明書のいずれか。
- 発行後3か月以内の法人の代表者印の印鑑証明書
- 法人の代表者による署名者の役職及び社内使用印を証明する証明書
役職及び使用印の証明書のサンプルは以下のとおりです。
証明書
会社名
部署・役職名
氏名
1 上記の者は、当社の上記地位にある社員であることを証明します。
2 上記の者には、当社の業務に関し、次の権限を付与していることを証明します。
①当社の業務のうち、上記部署の業務として上記の者が分掌する事項について、官公署とその他の機関に提出する証書を上記の者の名義で作成すること。
②上記①で作成した証書について、自ら又はその代理人により、公証人に対して認証の嘱託をすること。
3 上記の者が当社の業務遂行に関して使用している印鑑の印影は以下のものであり、当該印鑑は、上記の者以外の者が上記の者の事前の許諾なく使用することが決してないよう、上記の者の下で業務上厳重に管理及び使用されているものであることを証明します。
役職者使用印 令和〇年〇月〇日
本店所在地
会社名
代表取締役名
代表者印 ※上記証明書3については、「上記の者が当社の業務の遂行に関して使用している印鑑の印影は以下のものであり、当該印鑑は、当社の印鑑規程(添付)により、上記の者以外の者が無断で使用することはできないものであることを証明します。」という記載例も考えられます。
※印鑑は、シャチハタ及び簡易印鑑は使用しないでください。 - 署名者(役職者)の社内使用印を押して作成した署名者から代理人に対する委任状
委任状のサンプル(文書の署名者が法人の役職者の場合)は以下のものです。
委任状
会社名
部署
氏名
私は、上記の者を代理人と定め、下記の文書について公証人の認証を受けるための一切の権限を委任します。
文書名通数
令和 年 月 日
本店所在地
会社名
役職者名社内使用印
- 代理人であることを証明できるもの(発行後3か月以内の代理人の印鑑登録証明書とその実印、運転免許証、パスポート、写真付きの住民基本台帳カード、その他顔写真付きの公的機関発行の証明書のいずれか。)
必要な手数料(法務省が定めた手数料令で決められています。)
1件につき、1万1000円です。ただし、その内容を公正証書にした場合の手数料の半額が1万1000円を下回るときは、その下回る額となります。ですから金額の算定ができない場合の手数料は、5500円となります。さらに、委任状の手数料は、3500円です。そのほか、宣誓認証の手数料は、1万1000円、謄本認証の手数料は、5000円です。
国内向け私文書の認証についてよくあるご質問・疑問と回答
- 公文書の認証はしてもらえるのですか。
- 公文書の認証はできません。しかし、公文書を添付した私文書としての宣言書を作成していただけば、その宣言書を公証人が認証することはできます。例えば、会社の登記簿謄本は公文書ですので、登記簿謄本自体を認証することはできませんが、その登記簿謄本を添付して、添付してある書類は我が社の登記簿謄本に間違いない旨記載した宣言書を認証することはできるのです。添付する公文書は、複数でも可能です。
その宣言書の署名者が個人の場合のサンプルは、以下のとおりです。
宣言書
添付の書類は、私の〇〇〇〇(文書名)に間違いありません。
令和〇年〇月〇日
住所
氏名押印
宣言書の署名者が法人の代表者もしくは役職者の場合のサンプルは、以下のとおりです。
宣言書
添付の書類は、当社〇〇〇〇(文書名)に間違いありません。
令和〇年〇月〇日
法人本店所在地
法人名
代表者(もしくは役職者名)
氏名押印
- 不動産の権利証を紛失してしまいました。その不動産を売却して買主に移転登記したいのですが、良い方法はありませんか。
- 司法書士さんに対する移転登記の委任状について、公証人の認証を受ける方法により、法務局による事前通知を省略できるという便利な方法があります。また、本人で登記手続きの申請をする場合は、その登記申請書について認証を受けることによっても、事前通知の手続きを省略できます。詳細は公証人や司法書士さんにご相談ください。なお、この認証手続は、本人に必ず役場までお出でいただく必要があります。発行後3か月以内の印鑑登録証明書と実印、写真付きの公的機関発行の身分証明書、不動産登記簿をご持参ください。
- 離婚する際に作成する年金分割の合意書について認証を受けることはできますか。
- できます。離婚の公正証書について説明していますように、離婚の際の年金分割については、公正証書で定めるか、あるいは年金分割の合意書に公証人の認証を受ける必要があります。合意書について、公証人の認証を受ける場合は、本人確認のできる書類と印鑑、年金番号が分かる資料、日本年金機構発行の年金分割のための情報通知書が必要になります。代理人にお出でいただく場合にはそのほか、委任状と代理人の身分証明書が必要です。
年金分割の合意書のサンプルは、以下のとおりです。
なお、分割の割合は、最大50パーセントまでです。法律のとおりに表記すると「0.5」となのますが、パーセント表記でもかまいません。「第1号改定者」とは、合意分割で標準報酬額が低額に改定される人、第2号改定者とは、第1号改定者から標準報酬の分割を受ける人のことです。合意書
〇〇〇〇(第1号改定者)と◎◎◎◎(第2号改定者)とは厚生労働大臣に対し、当事者間の対象期間に係る被保険者期間の標準報酬の改定または決定の請求をし、かつ、請求すべき按分割合を△△パーセントとする旨合意し、これを証するため本合意書を作成する
令和 年 月 日
第1号改定者
住所
氏名 印
生年月日
基礎年金番号
第2号改定者
住所
氏名 印
生年月日
基礎年金番号
- 任意後見契約を解除するには、公証人の認証を受けなければならないのですか。
- 任意後見監督人が選任される前であれば、そのとおりです。任意後見契約に関する法律により、任意後見監督人が家庭裁判所によって選任される前に任意後見契約を解除する場合には、公証人による認証を受けた書面によってする必要があります。なお、任意後見監督人が選任された後は、正当な事由がある場合に限って家庭裁判所の許可を得て解除しなければなりません。
- 配偶者による暴力等からの保護を受けるためには、公証人の認証を受けた書面によって申立をしなければならないと聞いたことがありますが、説明してください。
- 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律により、裁判所に提出する保護命令の申立書には、女性相談センターなどの相談機関に相談した事実を記載するか、公証役場において相手方から暴力を受けたことなどについての申立人の供述を記載し、その供述が真実であることを公証人の面前で宣誓して公証人の認証を受けて作成した宣誓供述書を保護命令の申立書に添付する必要があります。
※その他の国内向け私文書の認証に関する疑問等は何でも結構ですから、公証人に直接お尋ねください。また、国内向け私文書の認証についての質問と回答の詳細については、日本公証人連合会のホームページに掲載しています。この八重洲公証役場のホームページの「リンク」を開けるとご覧いただくことができます。