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遺言公正証書は大変お役に立ちます

遺言公正証書

遺言は、家族やお世話になった方への愛と感謝のメッセージです。遺言される方が築き守ってきた財産を大切な方々に適切に間違いなく残しましょう。そのために遺言公正証書が大変お役に立ちます。大切な財産を誰がどのように相続するのか、俗に「相続」ではなく「争族」と言われるように残された家族や兄弟の間で深刻な争いになり、家庭裁判所に争いが持ち込まれたりして長期間解決せず、またそのことが原因となって親しかったはずの家族や親族が永遠に仲違いしたままになってしまうこともあります。遺言公正証書はそのような「争族」を避けるために大変有効です。また、財産に関することだけでなく、「付言事項」として、残される方に対する希望、例えば妻や夫に対する感謝の気持ちとか子どもたちが兄弟が仲良く暮らして欲しいとか、あるいは墓参り等に関する希望を記載することもできます。ご相談は無料です。東京都内であれば、ご自宅、勤務先、病院、老人ホーム、介護施設などどこへでも出張して遺言公正証書を作成します。

作成までの手順

1 事前相談

事前相談

遺言される方またはその方から依頼を受けた方に役場までお越しいただくか、公証人が出張して遺言される内容の説明をしていただきます。この時に必要な書類がそろっているのが望ましいのですが、必ずしも揃っている必要はなく作成までに揃えていただければ十分です。なお、遺言される方と相続人や遺贈される方との関係が分かる書類及び財産の概要が分かる書類(メモでも結構です。)をお見せいただくとスムーズにご相談を受けることができます。

2 文案の作成

公証人が遺言される内容をお聞きして遺言公正証書の文案(原稿)を作成し、その文案を遺言される方に見ていただきます。文案をお渡しする方法は、役場までお越しいただく、郵送する、フアックス送信するなどの方法があります。

3 作成日時の調整等

文案の内容が間違いなければ、遺言公正証書を完成させる日時を調整させていただきます。文案の内容に修正すべき点があれば、公証人がその点を確認させていただき、文案を修正してもう一度遺言をされる方に見ていただきます。

4 遺言公正証書の作成(完成)・保存と証人

作成日に遺言をされる方に役場までお越しいただくか、公証人が出張して、遺言をされる方に内容の最終確認をしていただいた上、署名押印(原則として実印が必要です。)していただきます。なお、その際に証人2名の立ち会いが必要になります。証人には制限があり、相続人、受遺者(遺贈を受ける方のことです。)、その方々の配偶者、直径血族、未成年者はなることができません。友人や知人なら証人になるこができます。もし適当な方がおられなければ、役場の方で証人の紹介と依頼をすることができます(ただし、その場合は謝礼が必要になります。)ので、お申し出ください。その証人2名にも署名押印していただいて遺言公正証書を完成させ、正本や謄本を遺言された方にお渡しし、原本を役場に保管するとともに内容をデータ化して二重に保存します。

5 作成に要する期間

遺言の内容や必要書類の揃い方などにより異なりますが、事前相談から完成まで、早ければ3日くらい、通常は1週間くらいです。

必要な書類等

  1. 遺言される方の印鑑登録証明書(発行後3か月以内のものが有効です。)とその印鑑(実印)、または顔写真のある公的機関発行の身分証明書(運転免許証、ハースポート、住民票等)
  2. 遺言される方と相続を受ける方との関係が分かる戸籍謄本や除籍謄本
  3. 遺贈を受ける方の氏名、生年月日等が分かる住民票等
  4. 遺言される方がお持ちの財産の概要が分かる書類(メモでも結構です。)。
  5. 不動産の登記簿謄本とその評価証明書または固定資産税課税通知書(もちろん不動産をお持ちでなければ不要です。)。
  6. 証人2名の氏名、職業、住所、生年月日が分かるもの(メモでも結構です。)

必要な手数料(法務省が定めだ手数料令で決められています。)

1 基本手数料

下記のとおり、相続や遺贈を受ける人ごとにその受ける財産の価額を基準としてそれぞれの手数料を計算します。

財産の価額手数料
100万円以下 5,000円
200万円まで 7,000円
500万円まで 11,000円
1,000万円まで 17,000円
3,000万円まで 23,000円
5,000万円まで 29,000円
1億円まで 43,000円
1億円を超える 超える額が5,000万円ごとに3億円までは13,000円ずつ、10億円までは11,000円ずつ、10億円を超えるときは8,000円ずつ、それぞれ加算

その他

  1. 遺産の総額が1億円以下のときは、1の基本手数料とは別に遺言加算として11,000円が必要になります。
  2. 祭祀承継者の指定や遺言により認知する場合は、算定不能として、11,000円の手数料がかかります。
  3. 正本や謄本の費用は一枚につき250円です。
  4. ご自宅、勤務先、介護施設等に出張する場合は、日当(4時間以内1万円)と交通費がかかり、病院で臨床で作成する場合は基本手数料の5割増になります。

遺言についてのよくあるご質問・疑問と回答

父が死亡したのですが、作成していたらしい遺言書が見つかりません。作成したのかどうか、作成したならどこにあるのかが分かる方法はあるのでしょうか。
日本公証人連合会では遺言検索検索システムを運用しております。お父さんが遺言公正証書を作成していたのであれば、そのシステムによってそのお名前と生年月日から、遺言公正証書を作成した公証役場とその時期の特定ができますし、原本を保管しているその役場で謄本を交付してもらうことができます。ただし、このシステムを利用したり、謄本の交付請求ができるのは、相続人等の法律上の利害関係を有している方が、遺言された方が死亡されたことを証明できる書類(除籍謄本等)と法律上の利害関係を有していることを証明できる書類(戸籍謄本)及び請求される方の身分を証明する書類が必要になります。
公正証書遺言にはどういう長所があるのですか。
遺言の方式には公正証書遺言のほか、自筆証書遺言や秘密証書遺言がありますが、公正証書遺言の長所として
  1. 公正証書遺言は、法律の専門家である公証人が作成しますので、民法等の法令が規定する方式に反するなどにより無効となるおそれは全くなく安心なこと。
  2. 遺言の内容が複雑で、法律的に無理なものであったり、前後矛盾しかねないような場合でも、公証人が法律的に問題なく分かりやすい内容に整理できること。
  3. 遺言公正証書の原本は、公証役場に厳重に保管されるとともに、その内容をデータ化して西日本の安全と思われる場所に二重に保存しますから、地震などの災害にも安心で、また紛失したり改ざんされるなどの心配もないこと(自筆証書遺言や秘密証書遺言には、紛失のおそれや改ざんされたりする危険があります。)。
  4. 回答1に記載したように、遺言検索システムにより作成した公証役場と作成した日の検索をした上謄本の交付を請求できること。
  5. 自筆証書遺言や秘密証書遺言は、家庭裁判所の検認(法定相続人全員の戸籍謄本・住民票等の必要な書類を提出し、相続人全員が裁判所に集まらなければならない。)を受ける必要がありますが、公正証書遺言はその必要がないこと。
  6. 不動産の登記名義や預貯金名義の変更、あるいは預貯金の払い戻しや解約などもスムーズにできること。
等があります。
公正証書遺言を作成するときには財産を一つずつ特定する必要がありますか。
できるだけ特定していただくことが望ましいのですが、例えば相続させる人が一人であれば、「一切の財産を相続させる。」という遺言も可能です。複数の人に相続させる場合は、「一切の財産を〇〇パーセントの割合でそれぞれ相続させる。」という遺言もできます。ただし、この場合は、具体的な財産をどのように分けるのかその複数の相続人間での分割協議が必要になります。
遺言公正証書で、財産を特定して長男と長女に相続させる旨の遺言をしましたが、その後事情があり長男に相続させるとした不動産を売却してしまいました。この場合、遺言公正証書を作り直さなければなりませんか。
作り直す必要はありません。遺言は、原則として遺言書を作成される時点での財産に基づいてしますから、遺言書を作成後何十年も生き続けた場合などには当然その財産の増減があり得ることを前提としているからです。ただ、財産の変動が大きくあった場合には遺産分の問題が生じる場合もあり、遺言の執行を行い易くするためにも作り直されることをお勧めします。
相続させるつもりの妻が私より先か私と同時に死亡してしまう場合もあり得ると思います。そのような場合に備えて遺言することはできますか。
予備的遺言又は補充遺言という方法があります。例えば、「万一、妻が私より先にもしくは私と同時に死亡した場合は、妻に相続させる財産を〇〇に相続させる(遺贈する。)。」と遺言書に記載しておく方法です。このような遺言をしておかないと、民法の規定により、他の法定相続人に法定相続の割合で相続されることになりますし、他に法定相続人がいなければ財産は国庫に帰属することになります。
前問のようなケースで妻以外の法定相続人として兄弟が二人いますが、兄弟とは仲違いしていて財産を相続させたくありません。兄弟には相続させないという私の意思を実現する方法はありますか。
奥様があなたより先もしくは同時に死亡してしまうと、あなたの財産は兄弟二人に法定相続されることになります。それを避けるためには回答5に記載したように予備的(補充)遺言をし、例えばお世話になった恩人や赤十字とか国境なき医師団などに遺贈するというあなたの意思を明確にされておけばよいのです。なお、兄弟には遺留分に関する権利はありませんので、兄弟がその遺言の内容にクレームをつけることはできません。
私には、子供が一人(長男)がおり、妻は死亡していますので、全財産を長男に相続させたいと考えています。しかし、長男は最近重い病気にかかってしまい、私より先に死亡してしまうかもしれません。私には兄弟がいますが、兄弟には一銭も相続させたくありません。長男の妻がよく尽くしてくれますので、長男が先に死亡してしまった場合には、長男の妻に私の財産全部をあげたいのですが、どうしたらよいですか。
回答6にも関連しますが、万一長男が先に死亡してしまった場合には全財産を長男の妻に包括して遺贈するという予備的遺言をしておけばよいのです。なお、遺贈としているのは、長男の妻が法定相続人ではないからです。もし、あなたが長男の妻と養子縁組をされているなら、長男の妻は法定相続人になりますので、全財産を相続させるという予備的遺言をすることになります。相続と遺贈は基本的には同じですが、遺贈の相続税が相続のそれより多くなる等の違いがあります。なお、これらの場合も、兄弟には遺留分に関する権利はありませんので、兄弟はその遺言の内容にクレームをつけることはできません。
遺言執行者を遺言書で指定しておくことができるとのことですが、その指定をしておく意味はどういうところにありますか。
遺言執行者とは、遺言に表された遺言者の意思を確実に実現してくれる人のこです。個人でも法人でも指定することができます。一方的に指定するよりも、事前に承諾を得ておいた方が確実です。弁護士等の専門家だけでなく、NPO法人などのほか相続人や遺贈を受ける方も遺言執行者になることができます。遺言執行者は、相続人や遺贈を受ける方全員の署名押印がなくとも、相続財産の登記名義の変更や預貯金の払い戻し・解約・名義変更等をすることができます。ですから、相続人や遺贈を受ける方の事務手続きの負担を軽くすることができるのです。
遺言公正証書を取り消したり、変更したりすることはできますか。
財産の変動、家族関係の変化や心境の変化などにより前に作成した遺言公正証書を全部取り消したい、一部を変更したいとか全面的に作成し直したいというお気持ちになることは自然なことです。遺言書は公正証書によるものでも、それ以外のものでも、遺言される方のお気持ちにしたがって、何時でも取り消したり、一部を変更したり、全面変更することができます。そして、1番最後に作成した遺言書が有効なものになります。
障害を持つ子の将来が心配です。私が死亡した後にその子の面倒を見てもらう良い方法はありませんか。
あなたの財産を信頼できる人や団体に負担付き遺贈をし、その負担として、障害を持つお子さんの面倒を見ることとする遺言をする方法があります。また、任意後見契約の説明を参考にしていただきたいのですが、そのお子さんに契約を結ぶ判断能力があれば、お子さん自身が委任契約と任意後見契約を結び受任者に色々な面倒を見てもらうという方法も考えられます。お子さんが未成年者の場合には、親が親権に基づいてお子さんの代理人として任意後見契約を結んでおくという方法もあります。さらに、遺言信託という方法も考えられます。遺言によって、信頼できる人や団体にあなたの財産を管理してもらいながら、お子さんの面倒も見てもらうというものです。詳しいことは、公証人にお尋ねください。
相続させるつもりの不動産の登記簿謄本が見当たりません。しかも、法務局がどこにあるのか分かりません。公証人の方で登記簿謄本を入手する方法はありませんか。
多少の手数料(1件につき350円)はかかりますが、役場の方で登記情報システムを利用して登記簿謄本を入手する方法がありますので、ご利用を申し出てください。ただし、その不動産の正確な所在地を教えていただく必要があります。

※ その他の遺言に関する疑問等は何でも結構ですから、公証人に直接お尋ねください。また、遺言についての質問と回答の詳細については、日本公証人連合会のホームページに掲載しています。この八重洲公証役場のホームページの「リンク」を開けるとご覧いただくことができます。

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